問合せ業務自動応答AIのLogicalMind TALK(ロジカルマインド トーク)
北九州市役所様の情報システムの構築・運用を担う総務局 情報政策部 情報政策課様が抱えていた課題は、「庁内職員からの問い合わせが多く寄せられ、本来の業務遂行に影響が出ていること」でした。
課題解決のために「LogicalMind」を試験的に導入。問い合わせ件数を削減させ、業務の効率化を実現しました。この取り組みについて、情報政策担当係長を務める髙尾芳彦様にお話を伺いました。
北九州市役所様の総務局情報政策部 情報政策課様は、情報システムの構築・運用を行い、行政サービスの円滑化を情報システム技術の活用でサポートする部署です。
情報システムの運用、情報端末やプリンターの設置などを専門としているため、システムに関する利用方法や機器の取り扱いに関する対応を一手に担当しています。
新しい施策にも積極的に取り組んでおり、担当職員の問い合わせ対応に係る工数削減を図るため、2020年11月から庁内システムに「LogicalMind」を導入しました。
――LogicalMind導入の背景となった業務上の課題について教えてください。
昨今、市役所の業務が多様化してきており、「限られた人数でいかに効率よく業務を遂行するか」という課題に直面していました。業務量が増加していく中で、他部署職員からの問い合わせ対応にかかる工数の削減は大きなテーマでした。
担当者でなければ答えられない質問だけでなく、内部専用のホームページに掲載している情報を見れば解決できる内容も電話で質問を受けるケースが多く、その対応に軽視できない工数がかかっていました。
問い合わせ対策としてヘルプデスクを設置し、専用回線を準備していますが、その電話回線が塞がってしまうと担当職員が対応せざるをえません。その結果、本来業務の進捗に影響が出たり、予定外の残業が発生するなどの支障が出ていました。
加えて働き方改革の流れもあり、業務効率化のためにAIを活用して自動化できる部分は自動化すべきだと考えました。そこで検討しはじめたのがチャットボットの導入です。
まず、総務省が進めていたAI活用研究事業に応募しました。クラウド上のAIを活用して事務効率を上げる実証実験を企画提案したところ、研究グループの一つに採択され、試験的に開発・導入を進めていました。
――LogicalMind導入後のご状況はいかがでしょうか。
これまでは問い合わせ対応によって本来の業務遂行が遅れてしまい、勤務時間内に終わらずに予定外の残業が発生することもありました。LogicalMindを導入したことでこのような残業はほぼゼロになりました。
私どもはシステムを扱う部署であるため、サービス終了後の定時間外でなければできない必要不可欠な作業がどうしても残業として発生してしまいます。
LogicalMindを導入することで定時間内での作業量を増やすことで、予定外の残業が減り、そうした必要不可欠な残業だけになりました。
実際に職場で仕事をしていても、11月からは電話が鳴ることが減り、事務室が静かになったと感じています。体感ですが、多いときは1時間に4〜5本は鳴っていた電話が、今では2〜3本と、職員1人当たり40%ほど減っているのではないかと思います。
ヘルプデスクへの問い合わせも、前年度の11月は320件だったところ、今年度は285件になりました。導入してわずか1ヶ月で約10%減りました。
「専門性の高い問い合わせは電話で」「一般的な問い合わせはLogicalMindで」といったように、区分けができた証だと思います。
さらに、今までは電話が塞がっているなどの事情で対応できなかった問い合わせにも、チャットボットを導入したことで即時対応できるようになりました。
一極集中していた質問受付窓口がチャットボット導入により分散されたため、問い合わせの受け付け能力が高まったのです。
チャットボットが最後に尋ねる「この回答は役に立ちましたか?」という質問には、多くの方が「はい」と答えてくれています。職員からは「便利なツールがリリースされましたね」とうれしい声をいただいています。
――数あるサービスの中からLogicalMindを採用された理由について教えてください。
選定の際は、複数のチャットボットを比較検討しました。
LogicalMindは、“3つの特徴”と謳われている「カンタン」「高機能」「低価格」が印象的でした。
推論エンジン搭載の学習機能によって回答精度が高く、教師データ(FAQ)はエクセルファイルで容易にインポート・エクスポート可能です。
キーワード登録やデータの追加や修正など、メンテナンスが必要な部分をサジェストしてくれる機能も魅力的でした。
実際に、操作はとても簡単に感じます。
システム運用業務の効率化が目的なのに、チャットボットの運用やデータメンテナンスにかえって工数がかかるようであれば意味がありません。
LogicalMindであれば、チャットボット導入という新たなシステムツールの運用業務に大きな負荷がかからないだろうと考え、採用いたしました。
――実際に導入されて、メンテナンス面はいかがでしょうか。
現在、メンテナンスとして行っている業務は大きく分けて3つあります。
1つ目はシステムの運用管理、2つ目は教師データ(FAQ)のメンテナンス、3つ目は「パソコン」と「PC」といった類似キーワードの紐付け作業です。
このようなメンテナンス業務を現在1人の職員で担当しています。チャットボット専任ではなく、作業工数は全体業務量の10%ほどで、本来業務の合間にメンテナンスを実施してもらっています。
業務効率化のためにチャットボットを導入するのですから、メンテナンスに工数がかからないのは目的にかなっています。
――今後の活用方法について教えてください。
導入して間もないこともあり、情報システム部門の教師データ(FAQ)以外のデータがまだまだ少ないために職員から寄せられる質問にすべて答えられているわけではありません。さらに、寄せられる様々な質問には、担当部署でなければ回答できない専門的な質問も多く含まれています。
今後は、そのような質問にも幅広く回答できるように、他部署からの協力を得ながら教師データ(FAQ)の登録件数を充実させていきたいと考えています。
長く運用していくためには、効果が出ていることを立証する必要があります。
具体的な数値で表すことはもちろん、職員にとって必要不可欠なサービスでなければなりません。全職員から「あのチャットボットがなくなると困ります」と言われるようなレベルにまで持っていくことを目指しています。
将来的には、市民向けのチャットボットとしても活用できればと考えています。
質問したのに期待した回答が出てこなかったり、誤った内容で回答が出てきたりしては、市民向けには活用できません。慎重に実証を重ねることで回答精度を高め、条件をクリアしたうえでのリリースを目標としています。
今後もチャットボットを活用することで、システム面から市民サービスの向上を目指していきたいと考えています。