問合せ業務自動応答AIのLogicalMind TALK(ロジカルマインド トーク)
大手家電メーカーのコンタクトセンターを請け負っているダットジャパン株式会社が抱えていた課題は、「商品の利用者が増えている中で、お客様からのお問い合わせのほとんどが電話になっており、問題解決を効率的にサポートできないこと」でした。
このような背景から、それまでメインのお問い合わせチャネルとなっていた電話とは異なる、24時間対応可能なチャネルであるチャットボットの導入を決めました。
その結果、電話でのお問い合わせ件数の削減に成功しただけでなく、お客様の細かなニーズに応えることが可能になりました。
この取り組みについて、CSソリューション事業部の菊田健様にお話を伺いました。
――チャットボット導入に至った業務上の課題について教えてください。
菊田氏:
弊社は大手家電メーカーのコンタクトセンターを請け負っており、お客様からのお問い合わせチャネルが電話とメール、FAXしかないという課題を抱えていました。なかでも電話でのお問い合わせは全体の93%を占めていて、電話に依存しすぎている状況を早急に改善する必要がありました。
また、電話への依存の改善に加えて、お客様が24時間いつでも問題解決ができるようなデジタルチャネルがないことも当時の課題でした。電話でお問い合わせできるのは平日9時〜18時に限られてしまいます。それ以外の時間帯に対応しているメールやFAXの回答は翌営業日となってしまいサービス品質低下のリスクがあり、新規のデジタルチャネルの準備が必要でした。
そこで電話でのお問合せを減らすこと、お客様が24時間いつでも問題解決できるような体制をつくることという2つの課題解決のために、チャットボットの導入を決めました。
――自社用のチャットボットを開発したと伺っていますが、開発のポイントはどのような部分だったのでしょうか?
菊田氏:
今回導入するチャットボットは、お客様からの細かいご要望にも対応できるようにしたいと考えた結果、既製のシステムを導入するのではなく、自社で一から開発することにしました。
スクラッチ開発で自社に合ったチャットボットを作る計画を立てたのですが、いち早くリリースするためには、自社だけでは間に合わないと感じました。
そこで相談したのが、以前からお付き合いのあったマインドシフト社です。
もともと同社が質の高いチャットボットを開発していることは知っていましたし、同社の高い開発技術に加えて、弊社が以前導入したFAQコンテンツをうまく活用することで今回のニーズに合ったチャットボットを短期間で作れると考えました。
マインドシフト社と共同開発を進めるうちに、同社の類似文書検索エンジンを用いればお客様の問題をスピーディに解決できるとわかり、すぐに採用しました。
同検索エンジンであれば、曖昧な質問であっても登録したデータから最適な回答をすぐにお客様に提供できるのでサービス向上につながると確信しました。
――チャットボットを導入した効果について教えてください。
菊田氏:
チャットボット導入による効果は総コール数から読み取れました。チャットボット導入前の2020年と導入後の2021年とで総コール数を比較すると、電話の数が20%ほど減少したことがわかりました。この結果は、チャットボット以外にもFAQをはじめとしたデジタルコンテンツを導入したことや、電話でお問い合わせをする人が少なくなっているという背景を踏まえても、チャットボット導入が電話数の削減に大きく影響したと考えられます。
デジタルコンテンツ全体でみると影響はさらに大きく、電話でのお問い合わせ割合が93%から49%と約半分近くに減らせました。この結果からもお客様自身で調べて、問題解決までたどり着くというケースが着実に増えてきていることを実感しています。
また、お客様対応が24時間できるようになったこともチャットボット導入による効果だと思います。チャットボットを導入したことによってお客様は好きなタイミングで回答を得ることができるので、顧客満足度という観点でも非常に良い効果があったのではないかと感じています。
――メンテナンスなどの管理面はいかがでしょうか。
菊田氏:
まだチャットボットをリリースしたばかりということもあり、メンテナンスに関しては試行錯誤しながら取り組んでいます。ただ、チャットボットはFAQと一緒にメンテナンスできる点が非常に便利だと感じています。FAQのコンテンツを更新すれば、チャットボットにも反映されます。その結果、チャットボットで対応できる幅も増えてきますので、メンテナンス面では非常に効率的だと感じています。現在、コンテンツを作っているメンバーは3人ほどおり、社内のエンジニアとマインドシフト社の担当者と一緒に良い仕組みづくりに励んでいます。
今後はチャットボットで利用するFAQのデータを半自動的に作り上げる仕組みをもっと活用していきたいと考えております。オペレーターが電話対応する際は、FAQに掲載していないことを質問されることもあります。そのような内容を随時反映して、よりFAQのコンテンツを充実させる仕組みを確立することでお客様の満足度につながると考えています。
――今後について、チャットボットの横展開の構想があれば教えてください。
菊田氏:
弊社はコールセンターベンダーとして多くのクライアント様の業務を行っているので、他のクライアント様にもチャットボットのことを共有していけたらと考えています。弊社と同じような課題を抱えているクライアント様は多くいらっしゃり、チャットボットを導入することでそれらを解決できることもあるはずです。
世の中には安価で使いやすいチャットボットや、型にはまらない質問に対してより効果を発揮するチャットボットがあり、それぞれに強みがあると考えています。現在弊社で活用しているチャットボットも日々バージョンアップしていくことで横展開できると思いますので、試行錯誤を続けながら、更にお客様の対応品質を向上させたいと考えています。